2/19-AM

 一日の境目が23時59分と24時の間にあることは大体の人が常識として持っていることだと思うけど、常に時計を見てでもいない限り、感覚的にその境界を認識することはない。そのため大体の人間は夜の睡眠を日またぎの基準にしているように思える。自分もその例外ではないのだけれど、前日をほとんど丸一日寝潰してしまったので、暫定的にノートパソコンでアニメを見始めたところからを2月19日ということにしようと思う。
 truetearsというアニメを見た。あらすじはうまく説明できないから書かない。そのアニメは、自分がとても高く評価しているアニメ制作会社の処女作のようなもので、今年の年末にあったコミックマーケットで勢いで設定資料集を買ってしまっていたのもあって、見ようと思った。記号表現ではない恋愛描写を久しぶりに見て、結構新鮮だった。長いことそういうことに触れていないのでなんだか感覚を忘れてきているな、とも思った。
 アニメを13話一気に見た後、インターネットを見て回った。truetearsのドラマCDを少し聞いて、話の理解度が深まった。あと、溜まっていたtumblrのダッシュボードを消化した。別に読む義務があるようなものではないのだから、要するに暇をつぶしたかったのだと思う。面白いGifアニメや画像が川みたいに流れてきて、それをただ見て刹那的に味わう。時折ハッとさせられるような言葉が流れてきたりもするけど、ブラウザを閉じれば忘れてしまう。結局は暇つぶし以外のなんでもないんだな、と思う。
 他にどうでもいいことを調べた後、一眠りした。なにしろ前日から12時間ほど寝た後だったのでぐっすり眠れるなんてほとんど想像していなかったけど、また生活リズムが無茶苦茶になるのは避けたかったから寝た。am6:00くらいだったと思う。目覚ましは10:30に設定したのに、8:30に目が覚めた。面白い夢を見ていたので寝ていた気がしなくて、起きた瞬間「そろそろ寝ないと……」と思った。夢の内容はもう覚えていない。起きてから昨日見逃した大学の成績発表を見た。まったく芳しくなく、どうやら1留は避けられないものと見えた。勿論それなりに悲しかったし、ショックもあったけど、ずいぶん前からこうなるような気はしていたから納得したという気持ちの方が強かった。いくつかの科目についてはメールを出して嘆願してみるつもりだが、あまり期待しないほうがいいだろう。結局のところ自分は他人と比べて大幅に劣っているところがあるんだけど、大学受験という絶好の機会でそのことに気づくのに失敗してしまったのだと思う。失敗することに失敗、という表現をよく使う。今更どうこう言おうが自分の境遇も変わらないしこれから何が起こるかもわからない。起こったことをそれなりに受け止めて来年度以降また生きていくんだろうな、と思う。
 時計を見るとまだ9:00だった。本屋に行くことにしたのだけど、開店時間を調べると10:00だったので1時間ほど暇があった。図書館にでも出かけようかと考えたけど、アニメを見ることにした。「有頂天家族」というタイトルのアニメを3話ほど見た。実のところ、もう原作は半年ほど前に読んでいるので話の筋書きはほとんど知っているのだけど、ただ見知った京都の街並みが綺麗にアニメイトされているのを見たいがために見た。よくとおっている道や場所が出て来るとやっぱり親近感が湧いてきて面白い。
 見終わると10:00を少し過ぎていたので本屋に行った。読む本のストックが切れていたので、一気に文庫本をたくさん買った。「金閣寺」、「武器よさらば」、「流れよわが涙、と警官は言った」、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、「異邦人」、「時計仕掛けのオレンジ」、「そして誰もいなくなった」、「読書について」、「夏への扉」、「銃・病原菌・鉄(上)(下)」。占めて7300円ほど。大学の生協書店は書籍の値段が10%オフになっているので、おおよそ一冊分ただで買えた計算になる。言わゆる「名作」ばかりを買った。以前はライトノベルばかりを買っていたけど、最近は、こういった「タイトルだけは知っているけど、読んだことはないという本」とか、またはタイトルだって聞いたことない普通の本を買うようになってきた。最近のライトノベルがあんまり面白くないと思ってるのもそうするようになった理由の一つだけど、多分好みが変わったというのもあるだろう。世に出て来るライトノベルの趣向も変わるし、自分の趣味も変わるから、ずっとライトノベルが好きというのは難しいだろうな、と思った。とはいえ、ライトノベルは本の一種だし、きっと本を読むことはこれから先も好きだろうから結局長い付き合いになることに変わりはない気がする。
 「異邦人」の第一章を読みながら昼食を摂った。何かを読みながら食事をすることは大変行儀の悪いことだけど、一人でいるときは我慢できない。古代米小、牛肉コロッケ、ブリの照り焼き、味噌汁、フルーツヨーグルト。レジのお姉さんが「ごゆっくりどうぞ」と4回くらい言ってきたのがすこしおかしかった。接客態度をマニュアル化することは安定したサービスの提供にはいいけど、それが顧客側に透けてしまっては心象的によろしくないな、と思った。
 「異邦人」を読んでいると、自分の生活も淡々と丁寧に綴ればそれなりに読めるものになるんじゃないか、と思ってこんな日記を書いてみた。ひとまず午前はここまで。